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2004.11.12

趣味と仕事

 最近、仕事が忙しくて、夕ご飯は勤務先の社員食堂で食べている。通勤に時間がかかる上に、お腹を空かせたままでは仕事に集中できないからだ。ガンモに、
「今日も残業だから、晩御飯、食堂で食べて帰るよ」
と電話をかけると、ガンモのちょっとがっかりしたような声が聞こえて来て、何だか申し訳ないような気持ちになってしまう。私も、ガンモと一緒に晩御飯を食べるのが好きなのに。

 社員食堂でご飯を作ってくれているおばちゃん達の存在は、大変ありがたい。もちろん、それが彼女たちの仕事なのだが、ご飯を作ることが本当に好きでなければやって行けない仕事だろうと思う。そう考えながら、私自身は一体何が好きなのだろうかと振り返ってみた。

 文章を書くことが好きではあるが、それを職業としていない。小さい頃は、文章を書くことで食べて行けたらなどということを考えてもいた。小学生の頃から、「お話」を創作していた。

 文章を書くことに加え、演劇が好きだった。小学校のとき、国語の教材についていた脚本をみんなの前で感情を込めて読み上げた。そのとき、震えるような感動が走ったのを覚えている。中学生になると、図書館で演劇の台本を借りて友達と一緒に役を演じてみたり、また、自分で脚本を書いたりもしていた。しかも、自分が書いたその台本を、カセットテープに自分で多重録音して、自作自演のテープを作っていた。そのテープを、友達の誕生日にプレゼントしたりした。更に、高校のときは演劇部に所属し、何度か舞台にも立った。
 
 音楽に関しては、ピアノを習ってはいたが、下手くそだった。しかし、ハモることが大好きだった。だから、好きになるのはいつも、単独のアーチストよりもバンドだった。しかし、田舎で育った私は、良き音楽仲間を見つけることができずに、そのまま成長してしまった。それでも、歌ではハモりたかったので、これまたカセットテープに自分で多重録音しながらハモっていた。ギターを始めたのは社会人になってからで、遅咲きもいいところ。いや、遅咲きはおろか、いまだにつぼみさえ付けていない。

 考えてみると、以上のどこにも、現在の職業に結び付くような要素は出て来ない。つまり、私は、今の仕事がそれほど好きなわけじゃないことになる。

 では、好きなことを職業にすれば良かったのだろうか。しかし、文章を書くことが好きだと言っても、自分が書きたいと思う文章を書くことが好きなのであって、人から書いて欲しいと頼まれた文章を書き上げるのは、とても苦手だ。趣味の演劇は、いつの間にか、観劇する立場に変わってしまった。音楽では、いまだに一緒にハモれる相手と巡り合っていない。ハモろうとすると、ガンモはつられてしまう。それに、子供の頃の私は、主旋律を聞きながらすぐにハモることができたが、最近はもう、ハモれなくなって来た。

 やっぱり私は、今の仕事を続けて行くしかないようだ。でも、今日、社員食堂でふと思ったのは、家で食事を作らなかった分、もしも今の仕事を辞めたなら、食堂のおばちゃんになって、ご飯をたくさん作ってみるのもいいかもしれないということだった。

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