陰の存在
私たちの住んでいるマンションは、数年前から自主管理を始めた。自主管理とは、マンションが管理会社から独立し、区分所有者である住民の手で自ら管理して行くという形態である。管理会社にすべてを任せたときに発生する余分な手数料を、マンションの修繕積立金として貯蓄して行こうという目的で発足したのだ。管理組合の役員は一年交代の持ち回り制で、私たち夫婦は今年、その役員を担当している。
この週末は、駐輪場の抽選を行うため、そのときに配る自転車用のステッカーを用意しなければならない。ステッカーには部屋番号と駐輪場の番号を貼り付けるのだが、今日はガンモの仕事が休みだったので、全世帯分の部屋番号と駐輪場の番号のラベル作りをガンモにお願いして、私は仕事に出掛けた。
管理組合のミーティングは月一回のペースで行われている。私はそのミーティングに出席し、表に出る。ガンモは管理組合員としては陰の存在で、マンションに光ケーブルを導入したいと申し出た業者にお断りのメールを書いたり、共有部分に取り付けるフェンスの候補をカラープリンタで出力したり、今回のように、ラベル作りを担当したりしてくれている。
私が仕事から帰ると、ガンモが一生懸命ラベル作りをしていた。ハサミでカットした小さなラベルの端をセロテープで留め、線の入った便箋に丁寧に並べている。その表情は、まさに真剣そのものだ。
「これ、合ってるかどうか確認して」
とガンモが言いながら、出来上がったラベルの束を差し出す。私は、世帯ごとの枚数とラベルの数が合っているかどうかを紙と照らし合わせながら確認した。
ようやく作業が終わり、私たちはお疲れさんの意味を込めて、歓喜天のように抱擁を交わした。ガンモ、ありがとう。
感謝の気持ちでいっぱいになりながら、部屋を見渡すと、見慣れない鉄道模型があった。どうやら、ラベルを買いにヨドバシカメラに出掛けたときに、自分へのご褒美として予め買っておいたらしい。まったく、ガンモってヤツは・・・・・・。(^^;
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