じゃんけんに負けてあげる
私がまだ東京に住んでいた頃、ガンモは関西に住んでいた。結婚を決めたとき、私たちは、じゃんけんに負けたほうが相手の街に引っ越して来るをという約束のもとでじゃんけんをした。
実は、そのじゃんけんに勝ったのは私のほうだった。だから、約束が果たされるのなら、ガンモのほうが東京に引っ越して来るはずだった。しかし、そのとき私はとっさに何を思ったか、自分のほうが関西に行くと宣言したのだ。
現実的な問題として、私は東京では、お風呂もクーラーも電子レンジもない安アパートに住んでいたほど貧乏な生活をしていた。一方、大企業に勤めるガンモは、一人で広い部屋に住んでいた上に、蓄えもあった。私は東京のアパートを引き払って、ガンモが住んでいた関西のアパートに転がり込んだ。ガンモが広い部屋に住んでくれていたおかげで、二人の住む家を新たに探さなくて良かったのだ。
私は関西に来て初めて、お風呂もクーラーも電子レンジもある生活を体験した。東京での生活に比べれば、それはそれは文化的な生活だった。そして、結婚して2年後にはマンションも購入した。やはり、私がじゃんけんに負けたことにしたのは正解だったのだ。
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