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2004.04.25

すってんころりん

 ガンモは自分の力を過信し過ぎる傾向にある。ある雪の日、ガンモは自転車に乗って仕事に出掛けた。道路が凍っていたので、私は
「転ばないように気をつけてよ」
と言った。ガンモは
「大丈夫だから」
と答えた。しかしその数分後、ガンモの乗っていた自転車はすべって転倒し、ガンモ自身も道路に投げ出され、自転車の籠の中に入っていたアタッシュケースもシュルシュルシュルと回転しながら道路の脇まで転がったらしい。小さな道路だったので大事には至らなかったが、そのときガンモは、左肩の小さな骨を骨折してしまい、しばらく腕が上がらなくなってしまった。

 ガンモは少しの間、リハビリに通っていた。しかし、根気強さが足りないせいか、すぐにリハビリに通うのをやめてしまった。リハビリには行きたくないと言うので、私は夜寝る前に、ベッドの上でガンモのリハビリに付き合った。ガンモが肩の痛みを我慢しながら、一生懸命私の顔を見て腕を上げようとする。私は、その顔がたまらなく好きで、リハビリ中のガンモに何度も何度もキスをした。

 ガンモの骨は、間もなくくっついた。リハビリは十分ではなかったかもしれないが、今ではほんの少し不自由を感じるももの、ガンモの左腕も上がるようになった。ベッドの上のリハビリで見たガンモの顔を、私は一生忘れないだろう。自分のためにも、一生懸命頑張ろうとしている真剣なガンモの顔。それは、お互いに歳を取ったときに、介護を通して見るはずの顔だったのかもしれない。その顔を見ることができるからこそ、介護をする側も頑張れるのではないかと思った。

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